「さ、行きましょうか」

「どこにですか……?」


綺麗な顔が私に笑いかける。
それに私は笑い返すこともなく、眉間にシワを寄せて尋ねた。



『行きましょうか』って本当に何言ってるの?
まあ、ついて行けば分かることなんだろうけどさ。



「私、戻らないと行けないんで」



そう私は戻らないといけない。
だってここは夢の中だもの。
早く目を覚まさないと。

会って伝えたい人がいるんだ。


そう思い、青い瞳をみた。


それなのに、どうしてまだ笑顔でいるんだろう。





「……じゃ、失礼します」



一礼してから背を向けて真っ直ぐに歩き出す。


このまま真っ直ぐ行けば、きっと出口があるはず。
全部が真っ白だからどこが出口だか分からないけど、とりあえず歩く。


白い道をひたすら歩いていくと人影がみえた。


誰だろうと思ったのも束の間で、変わらず笑顔でいる人物に私は言葉を失った。