ドアが閉まったのを見送れば少し放心状態になった。
コクハク?
だれに。
とも考える暇もなく思い浮かぶのはアイツの顔だった。
いつ言えばいいのだろう。
本当はあの日に告白するつもりでいたけど、1ヶ月も経ってしまったんじゃもう忘れられているかもしれない。
そもそも告白するだけだし、それ以降はなんも変化はないんだろうから別にしなくてもいいと言えばいいんだけれど……。
「はぁ」
ベッド脇にある棚に目をやって1段目の引き出しを開けた。
取り出したのはハンカチだ。
桜のワンポイントが目に付く可愛らしいハンカチ。
実は歩未にも誰にも言っていないことがある。
正直こんなことがあるとは思わなかった。
だって夢の中の話だから。
でも、おばあちゃんが泣いている私に差し出してくれた物とそっくりで
ちょっぴり感動した。



