──ガラッ。
「やっほ」
「よっ」
入ってきたのは歩未と幸太郎だ。
この2人はほぼ毎日来てくれる。
別に毎日来なくていいのにって思って言ってみたけど、あっさりと断られたんだよね。
でも、嬉しかった。
「歩未ー!」
「どう?体調は」
「え、スルー……」
「まさか。手振ったじゃん」
「え〜腕広げてたのに? 明らかにココに入るべきなのに?」
腕を広げて迎えたのにキミは私を避けるのね!!
……べ、別にぃ?
気にしてないけど。
意識が戻ってはじめて歩未と会った時なんか泣きながら抱き着いてきたのに?
「くっ、親友に対してそんなサラリとかわすなんて……ひどいわ!」
「……あんた頭おかしくなったの? てかこれ毎回やってるよね? …………はぁ、やればいいんでしょやれば」
腕を広げた私に歩未が少し屈んで腕の中に入ってくる。
思いっきり抱き締めると苦しいと言わんばかりに背中をバシバシ叩かれた。
だってさ、歩未に抱き着いてもらうなんて今だけしかないような気がするんだもん。
この機会逃しちゃダメでしょ。
っとまあ、歩未から抱き着いてもらう作戦はこんな理由なんて口が裂けても言わないけど。
ふと、もうひとつの視線があることに気付いた。
「あのさぁ、俺の存在忘れてね?」



