「こ、幸太郎どうしよう!私もう消えちゃいそう!!」

「ど、どうしようじゃねーよ!!さっさと言わないお前が悪いんだろ!?あーーー!ったくどうすりゃいいんだよ!」


ふたりして頭を抱える。


これが最期のお別れだというのになんてザマなんだろう。

全ては私がいけないのだけれど。


私はなんのためにここに来たの?

そんなのたったひとつだけでしょ。
もっと簡単。

言うだけでしょ。亜優奈。

これが最期なんだから。


お願い神様っ。
あとほんの少しだけ時間をください!

本当に伝えたいこと言える分の時間を!



「幸太郎!好き!!大好き!!!ずっとずーっと大好きだった!!!!」


あーやだやだやだ。
こんな別れ方。

まだ一緒にいたい。

止まって!まだ消えたくないっ。

わがままばっかでごめんなさい!
でも……っ。


最期くらい最高の笑顔で言えたらどんなによかったか。

やっと心から出た言葉は涙とともに溢れるなんて最期にふさわしくないじゃん。


松崎幸太郎。私の好きな人。
最期のお別れがこんな形でごめんね。


だんだん遠くなっていく彼との距離に手を伸ばすと幸太郎も手を伸ばした。


触れ合うことなく遠ざかっていく彼は大きな声で叫んでいた。





──ありがとう幸太郎。私も好き。さようなら。