「やった……!」
前に突き出された二つの拳をみて、小さく呟く。
見える!動く!
何度もグーパーを繰り返す二つの手。
そこで横になっていることに気付いた私は、飛び跳ねるように体を起こさせた。
「わ、私生きてる!」
私、生きてる。
やっぱ死んでなんかいなかった。
よかった!
声も普通に出せていることにも感動して、自然と涙が溢れてきた。
その場で足をジタバタさせて、顔に手を当てて喜んだ。
ほら、私死んでない!生きてるっ!
そうもう一度、ここに存在しているかのように自分を確認する。
そうだ、歩未!歩未に会わなきゃ!
私は、歩未を探しに走り出した。



