「あ、また笑ってる。急に笑うからビックリするけど、なんかいい事でもあったの?」
首を傾げて聞いてくる彼女はなんだか意地悪そうに笑ってる。
この顔ほんと小悪魔ちゃんだよね。
可愛いから許すけどさ。
それになんだか勘違いしてそうだし……。
「夏祭りが早く来ないかな~って思っただけだよ」
と、歩未との出会いを思い出してたんだよ。
そう心で付け足して、笑う。
「ふぅん、そうなんだ~」と口を尖らす歩未に「ほんとだってば!」と念を押すとふわっと笑った。
ケーキ屋さんを過ぎ、信号がタイミング悪く赤に変わってしまった。
この横断歩道を渡ればもうすぐだ。
「歩未ちゃん……?」
そう声を掛けたのは、彼女の異変に気づいたから。
手首を強く掴んで、唇を噛み締めてる。
苦しそうな表情で俯いていることはこの状態から察知できた。
「大丈夫?!」と小声で聞いてみるけど返ってくる返事は頷きだけで。
そういえば、この場所──。
一斉に動き出したのをみて思考を中断した。
足早に渡っていく歩未の背中を追った。
でも、一つだけ分かったことは、ここは私の人生に幕を閉じた場所だってこと。



