『ねえ!亜優奈ってば!起きてよ!!』
『おねーちゃん……?』
泣いてる歩未の隣でもう一人私に向かって呼ぶ声がした。
その声はまだ幼くて。
さっき助けた男の子だとすぐに分かった。
ボヤけた視界にその子を確認する。
「よかった~」
そう発しても彼らには届いてないみたいで、何度も何度も呼ばれる声に小さく笑った。
ほんとに、届いてないんだね。
たぶん私死んじゃってるんだ。
だってそうじゃないと、全てに応えてる私の声に気付くはずだもん。
──ねえ、神様はこの運命知ってたのかな。
知ってたら
前もって言って欲しかったな〜。
……なんてね。
でも、私は間違ってないですよね?
だって男の子はちゃんと生きてるもん。
耳に何かが当たったのを感じて、それが涙だってことに気付いたのは歩未が言ったからだ。



