タイムリミットは君にサヨナラをするまで。


「あれ、佐來さんどした?」

幸太郎の声にハッとして慌てて首を横に振る。


どうやら考え込みすぎて2人との間に大きな距離を作っていたらしい。


幸太郎は一瞬不思議そうに首をかしげてそれから納得したように大きく頷いた。


でもそれだけで、また前を向いて歩き出す。


今度は私が首をかしげた。


なんなの、今の。
すごく気になるんですけど。

しかもなにか言おうとしたよね?


私見逃さなかったよ。小さく口が開いたのを。あの様子は何か言おうとしてた、絶対に。



「ちょっと、中途半端にするのやめなよ。佐來さん困ってるじゃん」


歩未も気になったのだろう。

私を混じえてそう言うと幸太郎はまた曖昧に唸ってから「別に大したことない」とあくびをしながら言った。


幸太郎があくびをしながら言うってことは、本当に大したことないんだ。

どうでもいい時はよくそうするから。


それが幸太郎の小さな癖なんだよね。