「…………」
黙っている私に歩未は隣でクスクス笑っている。
そんなことより、新太に言われたことが胸に突き刺さって……。
そうだよ?知ってるよ?
すみませんね!暴力女で!!
あーーーっもう!
『だから兄ちゃんに好かれないんだよーっ!』
今さっき言われた新太の言葉。
新太は知ってるんだ。私が彼のお兄ちゃんを、幸太郎のことが好きってことを。
なぜか去年言い当てられたんだよね。
幸太郎ん家に届けもの(学校のプリント等)を訪れた時に。
風邪を珍しく引いたアイツの代わりに受け取ったのが新太だった。
『亜優奈って兄ちゃんのこと好きでしょ』
ドアの向こうに入っていく途中、少し顔を出してそう言ったんだ。
急だったし、ビックリしすぎて固まった私を見てイタズラな顔をした新太は何も言わずに中に入っていった。
そのあとの静けさ。
……恥ずかしいくらいに憶えてるよ。



