タイムリミットは君にサヨナラをするまで。


横断歩道のちょうど半分を渡りきったとき。


後ろから元気に私を呼ぶ声が聞こえた。


それに少しドキッとする。



走ってきた男の子が私の隣にたどり着いて、アイツと同じ笑い方をした。

クシャッとして歯を見せて笑う彼には、まだ幼さを感じる。



「新太おはよう」

「はよ!あ、歩未もおはよ!」

「コラ、歩未じゃないでしょーが」


そう言って新太の頭を軽く叩く。



隣で眩しいくらいに笑う彼は「いてっ」と小さく呟いて、すぐ側で笑っている歩未に手で謝る仕草を向けた。


それにもう一度手を上げると、軽くかわされて舌を出される。




「しん、」

「オレ急いでるから!じゃね!」



名前を遮ってそう言った新太は手を振って前へと走って行く。


その後ろ姿を元気だな〜と笑いながら見ていると、渡りきったところで振り返り笑顔で余計なことを言ってまた走っていった。