「……吟多くんのも美味しそ~。ねぇ、1口もらっていい?」

自然に振る舞うような口ぶりの彼女。
俺はふわりと微笑んだ。

「いいよ。……でも、」

彼女の頬に軽く手を添え、口元に付いていたメレンゲを親指で拭う。


「メレンゲ取ってから、ね」


そのまま親指についたメレンゲをなめた。
途端に顔を夕陽のように赤く染める彼女。

「やっ、やだもぉ!テレるって~!」

まんざらでもなさそうに体をもぞもぞさせながらゼリーを1口食べる彼女を、


俺は何も感じずに笑って見ていた。