高校から10分ほど。

お団子の彼女に連れられてやって来たカフェは、白木の柵があるアンティーク風だった。


例えるなら絵本に出てきそう。


店内は水の中のようだった。
ガラスのイルカや魚が涼しげな光をはじき、アクアリウムには水中花が瑞々しげに咲いている。
ボトルシップや綺麗な貝殻も置かれていた。

来ているお客の男女比は半々ほど。


「『マリンスノウ』。何かキレイな響き~!
あたし、ここ好きになっちゃった」

「そうだね。ひんやりしてて居心地いいし」


弾んだ声を上げる彼女に話を合わせる。