日差しが人を焦がしだす季節。
船の帆のようにはためくカーテン。
その向こうに広がる、都会風の街並み。
どこかに海が隠れてるんだと思うと、不思議な気持ちになる。
「吟多く~ん!放課後どこか寄ってかない?」
「新しいカフェがこの近くに出来たんだって!
ねぇ吟多くん一緒に行こ?」
「吟多くん!帰りカラオケ行こうよ!」
開放感あふれる空気の放課後。
頬杖をついてぼうっと外を見ていると、女子たちがざわざわと集まってきた。
どの娘も髪をオシャレにまとめてたり、明るく染めていたり、制服をハヤリ風に着崩している。
写真のモデルをコピーしたみたいだ。
そして、誰もかれも期待と気迫のこもる瞳をしている。
"自分を選んで"と言うように。
「いいよ」
もう慣れた視線たちに微笑みを向ける。
感じよく、爽やかに。
そして俺は適当に、カフェに誘ってきたお団子ヘアの子の手を柔らかく引いた。
途端にとろけたように笑う彼女。
他は落胆したような表情に変わる。