────海に行こう。

気持ちがはやり、俺は走り出していた。
いつもより体が軽い気がして、どんどんスピードを上げていく。

レモン水のおかげか、ラメルやお兄さんと話したからか。

軽やかに駆ける足で 周りの景色を追い越していく。

息がはずみ、熱っぽい空気に玉のような汗がつたっていくけど、俺は歩を緩めなかった。

ここら辺は遊泳禁止だから、誰の声も聞こえない。
聞こえるのはただ静かな波の音。
あるのは人に汚されていない海辺。

すっかり荒くなった呼吸を整えるため、ゆっくり砂を踏んで行く。

そのとき、大事なことに気がついた。