「ごちそうさまでした」
「あ、お金はいいよ!」
空っぽになったグラスをテーブルに置いて。
財布を取り出そうとすると、ラメルが両腕でバッテンを作った。
見ると、お兄さんも両手のひとさし指をバッテンにしていた。
「またおいでよ。ラズベリーのジュースとか、スイカのシャーベットとかもあるから!」
えへへ、と無邪気に笑うラメル。
口元を和ませて微笑んでいるお兄さん。
「じゃあ……また今度」
カララン、と澄んだ音をたてて、ドアチャイムが揺れる。
「ありがとうございましたー!」
手を振ってくれる2人と、古風な雰囲気のカフェ。
なぜだか懐かしい気持ちになって、俺は2人にそっと片手を上げた。