外に出ると濃い熱気が、両腕を伸ばすように包み込んできた。
容赦なく肌や髪を灼こうとする陽射しに早歩きになる。

カードの裏に書いてあった住所を目指すと、マンションから割と近い通りにあったことを知った。

記憶に残っている白い柵が目に付き、まさしく砂漠にオアシスを見つけたような気持ちで駆け寄る。

……が。


「『準備中です』……」


ドアに吊り下げられていた板には、無情にもそう書かれていた。

陽射しが追い討ちをかけるように強くなり。
セミの声が強まった気がした。

……うそだろ……。

観念させられたようにうなだれるも、帰る意欲も気力も熱に灼かれていた。