困惑しながら俺は、体を委ねずにいられなかった。 昔ふれられなかったものが、掴めそうで。 ひんやりした手だからか、やけに心地よくて。 空っぽだったビンに、透明な水が満ち満ちていくような感覚。 キスでこんな感覚になったことは無かった。 俺にとってのキスは、 皮膚がふれることで。 自分の存在を確認することで。 唯一知る、"愛"の表現方法だったのに。