「……私がキスする以外で、君が泡にならない方法ってあるかな?」

真っ直ぐに俺の目を見つめ直して少女が言った。

「え……。えっ、と……」

思わずたじろぐ。
どうしよう。考えてない。
ここまで信じてたとは。

「あの、……これなら、どうかな?」

考えあぐねていると、少女の両腕が俺のほうへ伸びる。
そしてふわりと抱きしめられた。
ふれるかふれないか。
ぎりぎりの距離と力でそっと……。

思わず びく、と体がこわばった。

すると少女の柔らかな手が安心させるように俺の頭を撫でる。


トクン……。

優しい手つきに心が揺れた。
少しずつ、少しずつ……。
穏やかな感覚に包まれる。

何だろう。この感覚。
護られているみたいで安心する。