「ありがとうございましたー!」
また来てねー!とぱたぱた手を振ってるウェイトレスの子に、2人 手を振り返す。
お客様特典としてもらったカードには、人魚の水彩画が描かれていた。
「何か、いつまでも居たくなるカフェだったね」
「あたしも~。スイーツ美味しかったし!」
少し勢いが弱まった暑さの中。
彼女の家まで送りながら、どうでもいいことを話して歩く。
「あたし、また来たいなぁ~」
彼女が上目遣いで見つめてくる。
甘えるように語尾が伸びる。
「そうだね」
凪いだ水面のような心境で、静かに優しげに返す。