彼がくれた感情を、
彼が教えてくれた自分の失っていた大事なものを
ずっと前から気づいていたことに、
はっきり言及してくれて
とぼけながらも私のことをわかっていて
会って短時間でこんなに分かってくれる人なんて
そういなくて、
その人が認めてくれた姿を
そうやって、侮辱するな。
私が言ってもらったときにどれだけ嬉しかったか
どれだけびっくりしたか。
どれだけ、ここに今いたことを
良かったと思ったか。
外だけ固めていた私を
こんなにも優しい言葉で
なんだかんだ言いながら
変装につきあってくれた彼に、
伝えたい言葉が、あるのに。
その人が認めてくれた姿を……
バカにするな。
起き上がる力をくれたのは、
さっきまで一緒だった彼の言葉で
ああ、完全に好きになっちゃったんだななんて
苦笑して立ち上がる。
「あ、生きてたんだあ、良かったあ。それで、誰なの?」
階段の上から見下ろしてくる数人を
真っ直ぐ見据える。
「言わない言いたくない」


