「きゃあぁあ!」
相当な金切り声を挙げて私は転倒した。
そして、やっぱり。
痛くなかった。
想像した、最悪な展開。
「大丈夫ですか?」
私が倒れた先は、教師だった。
勢い余ったからだろう、顔が近い。
意識する所じゃないのに、
顔が赤くなるのがわかる。
「あ、あの……」
そんなことを考えて焦っている時に
声をおずおずとかけられる。
またもや、嫌な予感がした。
倒れた位置が悪ければ、
色々なことが予測できる。
「な、何?」
変なことを言われても、動じたら終わりだ。
だから、平静を装わなきゃ。
「これって、セクハラに入らないですよね? 僕、何模してないですよね?」
2、3秒沈黙が続いた。
それから、私は堪えきれなくなって
吹き出した。
「ならない、ならないって。ああ、もういいや」
この人といると、不思議とペースが狂う。
絶対、落ちてしまう。
この人に、私は落とされちゃう。
この人のこの不思議な魅力に
引き込まれていく自分が分かる。
でも、それが案外嫌じゃなかった。
「それで? 何の条件を出すつもりだったの?」
もう分かる。
この人は欲求不満のために条件を出すほど
頭がよくない。
「理科、教えましょうかと。僕、生物化学専攻なので」


