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指定された駅前広場は、土曜日の夜ということもあって賑やかだった。大きなクリスマスツリーには電飾が施されていて点滅を繰り返す。街のいたるところがクリスマス仕様で、普段なら見ているだけで気分が上がるのだけれど、今の私にはそんな余裕はなかった。
「ごめんなさいっ」
潤哉さんの顔をみるなり、私は頭を下げた。
周りにいるひとたちの好奇な視線が突き刺さって痛い。それでも、そんなことに気を取られている場合じゃない。ことの真相を知ったのは、数時間前のこと。
二度寝のあと、私は、気だるさの残る体で一階のキッチンへ行った。ウコンのおかげか大量にスポーツドリンクを飲んだのが良かったのか、あの頭痛は消えてなくなっていた。
ダイニングテーブルにいた母は私の足音を聞くなり、開口一番『樹希ったら、みっともない』と、あきれ顔だった。そう言われると何の反論できないので『ごめんなさい』と素直に返したけれど、母の次の言葉に、頭が真っ白になった。
『きちんと潤哉君にお礼を言っておきなさいよ。仕事帰りに、わざわざ送り届けてくれたんだから』
……潤哉さん? 颯哉じゃなくて?
どうやら颯哉は、残業帰りの潤哉さんに酔っぱらいの回収を頼んだようなのだ。
“自分の誕生日に泥酔してる恋人”なんて最悪だ。しかも理由が分かりやすすぎる。
夢だと思っていたあの揺れは現実で……私はなんて言ったっけ? 記憶が果てしなく薄い。
慌てて直接潤哉さんに電話をしたものの通じず、『どういうことよ』と颯哉に連絡してみれば反対に『酔っぱらい』となじられた。
やはり潤哉さんは休日出勤だと言う。
指定された駅前広場は、土曜日の夜ということもあって賑やかだった。大きなクリスマスツリーには電飾が施されていて点滅を繰り返す。街のいたるところがクリスマス仕様で、普段なら見ているだけで気分が上がるのだけれど、今の私にはそんな余裕はなかった。
「ごめんなさいっ」
潤哉さんの顔をみるなり、私は頭を下げた。
周りにいるひとたちの好奇な視線が突き刺さって痛い。それでも、そんなことに気を取られている場合じゃない。ことの真相を知ったのは、数時間前のこと。
二度寝のあと、私は、気だるさの残る体で一階のキッチンへ行った。ウコンのおかげか大量にスポーツドリンクを飲んだのが良かったのか、あの頭痛は消えてなくなっていた。
ダイニングテーブルにいた母は私の足音を聞くなり、開口一番『樹希ったら、みっともない』と、あきれ顔だった。そう言われると何の反論できないので『ごめんなさい』と素直に返したけれど、母の次の言葉に、頭が真っ白になった。
『きちんと潤哉君にお礼を言っておきなさいよ。仕事帰りに、わざわざ送り届けてくれたんだから』
……潤哉さん? 颯哉じゃなくて?
どうやら颯哉は、残業帰りの潤哉さんに酔っぱらいの回収を頼んだようなのだ。
“自分の誕生日に泥酔してる恋人”なんて最悪だ。しかも理由が分かりやすすぎる。
夢だと思っていたあの揺れは現実で……私はなんて言ったっけ? 記憶が果てしなく薄い。
慌てて直接潤哉さんに電話をしたものの通じず、『どういうことよ』と颯哉に連絡してみれば反対に『酔っぱらい』となじられた。
やはり潤哉さんは休日出勤だと言う。

