「あと少し」


残り3本になったところで、再び激しい爆発音がした。


そして続いて激しい爆発が続く。


今度は上からだった。


「大丈夫?あずにゃん?」


肩を支えて源之助が言った。


「大丈夫ですよ。源之助さんは?」


「俺はあずにゃんがいるから大丈夫」


『源!今の爆発で黒のエレベーター使えなくなったぞ。しかも、上の階からも爆発が』


残り時間は10分だ。


「階段で降りるよ」


『下の階もまだ炎が残ってる可能性があるからバックドラフトに巻き込まれたら大変だぞ。源』


「バックドラフト?」


あずさの質問に源之助が「火事の時に酸素がなくてガスがたまっている部屋を開けた瞬間、炎が飛び出てくる現象のことだよ」と答える。


「どこにいても危ないんですね。このビルは」


『早くそれを処理しちゃうぞ。急げ』


そう言われて、続ける。


残りの画像を享に送ると『緑、黄色の順で切って』と指示が来る。


その通り切ると画面のカウントダウンが止まった。


「……ギリギリだったな」


源之助が静かに呟き、あずさの手首から吸盤を静かに外した。


何も起こらないと分かった瞬間、どちらからともなくキスをしていた。


助かった。


強く抱きしめる。



『おい、そこのバカップル』


トランシーバーから冷ややかなツッコミが聞こえてくる。


『今、ヘリを要求したから屋上まで上がってきてくれ。下はもうむりだ』