「いけそうか?享」


「たぶん。ってか絶対攻略する」


管理室のパソコンを使いながら、享はデータを組みなおしている。


気を利かせた管理室のおじさんたちが、冷蔵庫の中に入っているものなら何でも食べていいからなと言って非難していった。

田中さんは、管理室に残りデータが復旧した時に逃げ遅れた人がいないか確認すると言って残ってくれている。


「お茶入れたので飲んでください。焦ってはいけませんよ」


ニコニコと笑ってはくれているが、差し出してくれた彼の手は少し震えていた。


「ありがとうございます」


享は受け取り、一口飲む。


優しいお茶の味がした。


人のことを思いやる味だ。


ホッと息をつき直し、享は再びプログラミングを組みなおす。


その時「享!源!」と吉伸が管理室に顔を出した。


「吉伸!?」


「大変だ!あずにゃんが!まだビルの中にいるかもしれない!」