B.C. square TOKYOの屋上では、源之助、享、光二、光之助、その他役員達が一機のヘリコプターの到着を待ち構えていた。


「現総帥が動く事態になるのは、相当まずいんじゃないか?源之助?」


ニッコリと優しい笑みを浮かべながら、全く優しくない声かけをする光之助。


「……分かっている」


「あの一般人と一緒になってから、松平財閥の不祥事が多すぎるのは目に余るところだ」


「あずにゃ……彼女のことは関係ない」


「だが、事実だ」


これ見よがしに言う光之助。



その他役員達も「そんな状態で、後など継いで大丈夫なのか?」と小さな声でヒソヒソと噂しあう。


一度疑心に陥った人間の心を取り戻すのは、非常に難しい。


こういった状況を逆手にとって、攻めてくる。


「兄さん。今はそんなことよりも、今後どうするか話し合わないと」


「ただ、責任の言及をしていかないと。お前はまだ継いでいない状態。いつでも逃げられるだろう?」


「……」


何を言い返しても無駄だ。


そう諦めた時、空から一機のヘリコプターが飛んでくる。


勢いよく飛んできたその機体は、下に人がいるなどお構いなしにヘリポートに降りて来る。


「うわぁあああ」


いい年した大人の男達が慌ててその場から逃げ出すが、源之助だけは少しだけ移動しただけでその機体の中にいる人物に呼びかけた。



「お待ちしておりました。総帥」


ガチャと扉が開くと、サングラスをかけた老人が姿を現す。


「源之助か」


「はい」


「お前……」


「はい」


「別所財閥のご令嬢を振ったらしいの」


「……はい」


開口一番その話かよ!


と享が小さくツッコミを入れる。


今はそんな話をしている場合ではないのに。


「そんなに見つけた女性のことを好きなのか?」


「はい」


「この爆発事件で、この財閥の行く末が怪しくなって別所財閥の力を借りればうまくいくかもしれないというのにか?」


「そんな風に借りずとも、何とかします」


「……うむ」


「……」


「……」


「……」


嫌な沈黙が流れた。