「あずにゃん」


「ちょ……もうや……」


「あずにゃん」


「げ……げんのすけ……さん。い、いやぁっ」


「あずにゃーん!!!」



「そろそろやめろバカップル!仕事が集中出来ないんだよ!イチャイチャイチャイチャしやがって!部屋行ってやれ!」


享がリビングルームでウンザリしたような表情を浮かべている。


「イチャイチャなんかしていませんよ!ゲームしていただけです!食後のプリンを賭けて!」


「え、俺たちイチャイチャしているように見えた?」


否定するあずさと喜ぶ源之助。


「本当に事の重大さ分かってんのか!?」


深い溜息をついて、享は源之助に詰め寄った。


「うん。分かってるよ」


ニッコリと笑って源之助は頷く。


「新聞にも大きく載ったんだぞ!お前がこの女と別所財閥の令嬢と二股かけてることが!」


「ああ、大丈夫。別所財閥の方断るから。俺はあずにゃんだけだよ」


「気持ち悪いですよ。源之助さん」


笑顔であずさに罵られ「テレちゃって」と嬉しそうに笑う源之助。


「お前!相手にされてないの気づけ!」


「気づくも何も、今お試し期間だから。付き合ってるみたいなもんだから。ね、あずにゃん」


「気持ち悪いですよね。源之助さん」


近づいて来ようとする源之助をこれでもかと拒絶しながら、勝手に賭けていたプリンを食べるあずさ。



「ああ!あずにゃん!プリンが!」


「え?なんですか?」


「ううん。あずにゃん食べていいんだよ。可愛いなぁ」


「……」


そんな二人の様子を見て、深い溜息を再びつく。


あの夜、源之助が会場であずさにキスをしたことにより会場は大騒ぎ。


別所財閥のご令嬢、麗華はご乱心だし、光之助は顔を真っ青にして後ずさり。


パパラッチからは写真を撮られる始末で、次の日の週刊誌にはあることないことたくさん書かれていた。


せっかくの就任式だったのにも関わらずハチャメチャである。


「ところで、なんでこんなに享さんが源之助さんの心配を?」


疑問に思ったことを素直に告げると享は「もう知らん!」と部屋を後にしてしまった。