「おはよう!昨日は大丈夫だった?」
親友の鈴が校門の前で私を待っていた。
病気の事はまだ言っていない。そして、言うつもりもない。
「うん!全然大丈夫だったよ!昨日はよく寝たから寝不足だったんじゃないかな?」
「そう?ならよかった!でねー」
鈴は、いつものように宿題やってない!とか日常茶飯事を送っていた。
「そういえば!あと半年で年末だねぇ!」
半年ー。
そうだった。私にはあと半年しか残されていない。今みたいに暑いって言ってコンビニでアイスを買って食べながら遊びに行くのもこのシーズンが最後ってことなんだ。
それに比べて、鈴にはあと何十年もの楽しい人生が残っている。
私なんかと一緒にいないほうがいい。そう思った。
だからこれが違った答えだとしても私はその考えを変えることができなかった。
私は、立ち止まった。
「祈里?何かあった?」
「鈴…絶対に死んだらだめだよ?絶対にダメだからね。
あ、何言ってんだろう私。ごめん今の忘れて!」
「ちょっと!?祈里!?授業は!?」
「ごめん!今日は学校休みにしといて!またメールするからじゃあね!」
走りながら鈴にそう答え、私は校門を飛び出した。
どれだけ走ったのだろう。私はたくさん走って疲れかけていた。
ただでさえ病気なのに、こんなに走って大丈夫なのだろうか?