「部屋で、雑誌見てたろ」
「あ……なっちゃん、気づいてたの?」
「お前が、気づくより先に、俺あそこにいたし」
そうだったんだ、気が付かなかったな……。
それならそうと、早く声をかけてくれれば良かったのに。
「あれは……沖ノ島の海を見てたの」
「海に行きたかったのか?」
コクリと頷くと、なっちゃんは考えるように空を見上げる。
「なら、手術受ける前に行ったほうがいいだろ。何があるのか分からねぇんだから」
「はは……私も、そう思う」
苦笑いを浮かべると、私はなっちゃんと同じように空へと視線を移した。
風にまかせて、雲が流れるように、自然に。
自分の気持ちにも素直になれたら良かったのに……。
「だけど、私は弱いから……結局、何も言えずに、ただ言われるとおりにしか生きられない」
その点、なっちゃんはすごい。
自分の意志を持って、生きてる。
私と違って、強くて勇敢な人だと思った。


