「あっ、そうだ……これ…」
私は、もっていたオレンジジュースを背伸びして、なっちゃんの頬に当てる。
「いってぇー!」
「あっ、ごめんなさい。でも、冷やさないと……」
痛がられたからか、私は驚いてジュースを頬から離してしまう。
すると、なっちゃんは私の手を引いて、ベンチに腰掛けさせた。
その隣に、なっちゃんが座る。
「……これなら、背伸びしなくていいだろ」
「あ………う、うんっ」
大人しく頬を差し出してくるなっちゃんに、私は恐る恐るオレンジジュースを当てる。
なっちゃんの痛みが、少しでも引いてくれますように…。
そして、今感じてる胸の痛みが、少しでも和らぎますように。
そう願いながら、なっちゃんの手当をする事に専念した。
「………何で、何も聞かねーの」
すると、しばらくしてなっちゃんがポツリと呟く。
それに私は、少し考えるように空を見上げた。


