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翌朝、自販機でジュースを買った私は、病室に戻ろうと廊下を歩いていた。

そして、ある病室の前を通った瞬間……。


「うっせーよ、手術は受けねーっつってんだろ!!」

廊下の外まで響く、怒鳴り声が聞こえた。

それに足を止めて振り向くと、そこには個室があり、扉が開いている。


「夏樹、何を意地になってるんだ」


「意地とか、そういうんじゃねーんだよ!!母親殺しといて、俺が……生きられるわけねぇだろっ」


気になって中をのぞき込むと、その向こうにはなっちゃんと、年輩の男性が見えた。


あれって……なっちゃんと、なっちゃんのお父さん?

それに、お母さんを殺したって……。


その言葉に、心臓がバクバクと嫌な音を立てる。

立ち聞きは良くないって分かってるのに、足が動かなかった。