「怒らせちゃったかな……」

「照れてるんだよ、あれは。鈍いなぁ、ふう姉」

「そうかなぁ」


またほのかちゃんが心配してる。

本当に、ほのかちゃんの方がお姉さんな気がするよ。


それにしても……小野 夏樹…なっちゃんか…。

この病院に来て、また新しい出会いがあったな。

この、白亜の籠の中………。

この出会いに意味があるとしたら……。


絶対なんてないこの世界で、私が病気で死ぬのか、手術で死ぬのか……。


どれも、ありえない話ではないから……。

それは、つかの間の幸せ……なのかもしれない。


「そうだよ!!……って、ふう姉、聞いてるの?」


心配そうに私を見つめるほのかちゃんを、ぼんやりと見つめ返す。


今ここにいるみんなと過ごす時間が、明日はもう来ないかもしれない。

そう思ったら……。


「うん、聞いてるよ……ごめんね」


切なくて、悲しくて、声が震えてしまうんだ。