「なっちゃん」
私は、海を見つめるなっちゃんの背中に声をかけた。
すると、反射的に勢いよく振り返る。
「っ………ふうっ!?」
「そんなに焦らなくても、私はちゃんとここにいるよ」
そんなこと言って、本当は私が焦ってる。
ここまで無我夢中で来てしまったけど、会える保証なんてどこにも無かったから……。
身体中を駆け巡る幸福で、動けない。
「風が吹くたび、砂の沈む音を聞く度に、お前が俺に会いに来たんじゃねーかって、何度も振り返ったんだよ……」
「今度は、本物だよ」
「あぁ、お前の声を聞き間違うはずねーからな」
なっちゃんは、泣きそうな顔で私を見つめていた。
あぁ、なっちゃんが目の前にいる。
私も、なっちゃんを見間違うはずなんて無い。
だって、この世界で唯一愛する人だから。


