「あの道も、全部覚えてる……」 なっちゃんと月を見上げた……。 月光が海面に反射して、まるで下に星空があるみたいに感動したっけ。 そして、なっちゃんの言っていた昼間の海も、それ以上に輝いていて、私は一生あの景色を忘れられないんだと思う。 なっちゃんは私にたくさんの初めてをくれたんだ。 「もう少しで着きますよ」 「はい、ありがとうございます」 運転手さんに返事を返しながら、私はなっちゃんとバイクで走った道を見つめて、あの日に思いを馳せていた。