「はい、実は人を探してて……」
あては無いけど、なんとなくあの場所に行けばなっちゃんに会える気がするんだ。
待ち合わせをしたわけでも無いけど、ただ予感がする。
それでも会えなかったら、転院前の病院を訪ねるつもりだ。
「それはそれは、恋人ですか?」
「ふふっ、はい」
「会えるといいですね」
運転手さんがミラーごしに微笑んでくれる。
それに、胸の奥の不安が少しだけ和らいだ気がした。
そしてタクシーに乗ること10分、海沿いに出る。
「わぁ……懐かしい……」
懐かしいってほど前の事じゃないけど……。
なっちゃんと離れていた、たった2週間がひどく長い時間のように思えて、懐かしく感じたんだ。


