「ねぇ、あなたがそんなに強くなれたのは……どうしてなの?」
突然のお母さんの問いに、私は微笑む。
それは……。
私の記憶の中で、アッシュゴールドの髪をした、あの人が微笑んだ。
そう、私に自由になるための勇気をくれた人。
そして、最初で最後の恋を教えてくれた人。
「私と一緒に旅をした、同じ病院に入院してた男の子のおかげ。あの人がいたから、今の私がいるんだ」
「一緒に砂浜に倒れていたって子ね」
お母さんには心当たりがあるのか、小さく笑った。
「うん、あの………その子は、今どこにいるか分かる?」
「実は、最初あなたとその子は、沖ノ島の砂浜から近い病院に搬送されたのだけれど……」
だけどって……なっちゃんに何かあったらどうしよう。
お母さんの言葉を待つ数秒間、心臓がバクバクと鳴り出す。


