「私の行きたい場所は、なっちゃんのいる場所……」
「ふう姉の生きていきたい人は?」
「………なっちゃんだよっ」
言葉にすると、途端になっちゃんに会いたくなる。
私の行きたい場所も、生きていきたい人も、ただ一人、なっちゃんだけ。
「もう、ふう姉には砂の城は必要無いね」
「え……?」
「幻想は時に幸せな夢を見せてくれる。だけど、一番大切なのは、今目の前にいる人なんだよ」
優しく、ほのかちゃんの小さな手が私の背中を撫でた。
それは、今目の前にいるほのかちゃんではなく、なっちゃんを見つめることを言ってるんだと分かった。
「だからふう姉、もう私の約束は必要ない。ふう姉の意思で幸せになって」
ほのかちゃんがくれた、私が後悔しないように生きるという約束。
それは、私に変わらない現実を変えるための勇気をくれた。


