「なっちゃんとこんな風に過ごす時間が……。これで最後だと思ったら……」
私は、たまらなく怖いんだ。
なっちゃんを……。
この世界で一番大切な人を失う事が、自分の命が消えてしまうかもしれない事が……怖い。
「ずっとここにいられたらいいのにって……考えちゃうんだ。本当に、弱虫でごめんね……」
作った砂の城が、いつの間にか波に攫われて崩れるように……。
どちらかがその命を終えても、悲しみに浸る間もなく、寄せては返す波に全て攫われてしまえばいいのに……。
なんて………本当に弱いままだ、私は……。
「………弱虫なんかじゃねーよ。大切なものが出来れば、誰だって臆病になんのは当たり前だ」
「え……」
「それだけ大切だから、失いたくねーって思う、少しでも傷つきたくねーって思うんだろ。でもな、ふう」
そう言っていつの間に貫通させたのか、トンネル越しになっちゃんは私の手を握った。


