「……………」
今日中には、病院に戻る。
そして、私達は手術を受けなきゃいけないんだ。
それで、何かあったら……。
なっちゃんとは、もう二度と会えないかも……。
ズキズキと痛み出す心臓を、そっとおさえた。
「ふう、どうした?」
すると、手を止めた私を心配してか、なっちゃんが私を見つめる。
「………あのね、怖くなって………」
「怖い?」
「うん………」
あの白亜の籠に戻る事が、私は怖いんだ。
「今までの幸せが、全部消えてしまいそうで……」
「……手術の事か?」
「うん……絶対なんて、無いから……」
いっそ、ここに築いた砂の城のように、2人……。
誰に邪魔されること無く、ずっと一緒にここにいれたらいいのに……。
もちろんそんなのは、幻想の城でしかないけど……。


