「立っていたら、疲れちゃいます。あ、どうぞ腰掛けてください」
私はベッドサイドの椅子を勧めた。
「お、おお……つか、お前誰だ?」
男の人は椅子に腰掛けながら、尋ねてくる。
え、それ私もさっき聞いたんですけど……。
タイミング的には、今更な感じがしてきた。
「朝霞 風花です」
ペコリとお辞儀をして、握手を求めるように手を差し出した。
すると、男の人はその手を見つめて、目を見開いた。
えっ、私変なことしたかな……?
そんな不安に駆られながら、男の人を見つめると、そっとその手を握られる。
あ………。
そういえば、初めて男の人の手を握ったな。
それに、変なドキドキを感じた。
やだな、自分で差し出したのに、緊張してきた……。


