「そんな包丁振り上げちゃ駄目だって、しかも顔怖い」
「んなっ、顔はいつも怖いんだよ、俺は!」
自分で言っちゃった……。
もしかして、なっちゃんは顔が怖いのを気にしてる?
「怖い顔をしてても、なっちゃんは優しい」
「な、突然なんだよ……」
狼狽えるなっちゃんに、私は笑う。
だって、その顔が赤くなっているから。
こういう顔は、私だけが知ってればいいなんて……嫉妬深いんだな、私も。
「ほらなっちゃん、金目鯛の頭はもっと低い所から切っても落とせるから」
「お、おう……」
なっちゃんの手に自分の手を重ねて、一緒に金目鯛を切る。
すると、なっちゃんは二匹目から上手に切ることができた。


