「ふう、寒くねぇか?」
「あ、うん、ちょっとだけ」
さすがに海の近くだからかな、潮風が冷たく感じる。
「マフラーちゃんと巻いとけ」
「うん、ありがとう」
かじかむ手をこすり合わせていると、なっちゃんは私の付けているマフラーを巻きなおしてくれた。
「自動販売機で、温かい飲み物でも探してくる。少し、ここで、待ってられるか?」
「うん、大丈夫だよ」
「………やっぱり、一緒に連れてくべきか……」
「もうっ、大丈夫だってば、なっちゃん」
考え込むなっちゃんの腕を、軽く叩く。
すると、渋々なっちゃんは頷いた。
「なら、すぐに戻る。くれぐれもここから動くなよ?」
「はい、約束するよ、なっちゃん」
なっちゃんは………やっぱり過保護だ。
少しくらい、私だってちゃんと待てるのに……。
まるで、扱いが子どもみたい。
それに苦笑いを浮かべていると、なっちゃんがバイクの鍵を指にかけて、私から離れる。
少し歩くと、心配なのか、もう一度私を振り返った。
「………んじゃ、行ってくる」
「うん、行ってらっしゃい」
それでも後ろ髪が引かれるのか、何度も振り返るなっちゃんに手を振りながら、その姿が見えなくなるまで見送った。
そして、姿が見えなくなると、私は1人で月を見上げる。


