「準備はいいか?」

なっちゃんがヘルメット越しに私を振り返り、見つめる。

それに、強く頷いてみせた。


「なっちゃん、またよろしくね」

「っ……ハッ、それは俺のセリフだっての。よろしくな、ふう」



不敵ななっちゃんの笑顔。

いつもの強気のなっちゃんが戻ってきた気がして、嬉しくなった。


そう言って笑い合うと、なっちゃんはハンドルを握って、バイクを走らせる。


ーブロロロッ!!


お腹にまで響くエンジン音に、髪を巻き上げる風。

私達はきっとどこまでも行ける、そんな気がした。