「なっちゃん、駅まで戻る?」

「いや……電車はやめとこーぜ。朝も警察に声かけられそうだったしな」


そういえば……。

今日1日色々あって、忘れてたけど……。

朝はなっちゃんとバスに逃げ込んだり、大変だったな。


「………仕方ねぇ、この近くに俺のバイト先があんだよ。そこに行ってバイク借りよーぜ」

「え、なっちゃんのバイト先?」


それって、バイク屋さんのことだよね。

なっちゃん、この辺でバイトしてたんだ、ならお家もこの辺?

ご近所なのかな……?


「あぁ、もう少しだけ頑張れるか?」

「うん、ありがとうなっちゃん」


なっちゃんが優しい……。

いつもだけど、いつも以上に。

私はなんだか甘えたくなって、その背に頬をすり寄せる。