そして、その日がやってきた。
勇人と絶交するのは嫌だった。脅し程度なんだろうが、私にとって勇人はすごく特別で大切な人だった。
だから、もうするしかなかった・・・・・
「おはよう、麻衣」
声をかけてきたのは保育園から一緒の亜紀だった。
亜紀は双子でもう一人の方は今日は風邪をひいたようだった。
亜紀にはこの一連のことを伝えていた。
「麻衣、どうすんの?」
どうするもなにももう私に選択肢は残されていない。
「やるしかないやん・・・。きっと無理やろうけど、伝えてみる」
「そっか、がんばってな!!」
そう私に言い亜紀は自分の教室に戻っていった。
憂鬱な一日がもうそろそろ終わろうとしていた。
あと、15分・・・・。
この時間私はどう伝えようかとか、きっと困るだろうなと不安ばっかり募っていった。
~キーンコーンカーンコーン~
チャイムが鳴ったと同時に私の体が熱くなり心臓の鼓動が早まった。
体が変にしびれ、あともう少しで告白タイムになってしまう。
そう考えると、教室に出たくなかった。
亜紀が廊下で待っている。
私と亜紀は待ち合わせの第二グランド(にいぐら)に向かった。
「もう、どうしよう・・・。ほんまに無理」
「そらそうやんな、でも大丈夫や!!」
何を根拠にそう言える!!!!!私はそう叫びたかった。
でももう、後戻りはできない。
恐る恐る待っているであろう場所を見ると・・・・・
誰もいなかった。
まだ、来ていないようだった。私はそこで亜紀と待つことにした。
勇人の声が聞こえた。もう一人の声はきっとやすくんであろう。私は、その二人が近づいてくるのが見え、心臓が今にも飛び出そうだった。
そして、二人が私の前に立った。亜紀と勇人は「じゃ」っと言ってその場を去った。少し離れたところで見守っていたようだった。
いよいよだ。私の鼓動の音がやすくんに聞こえているんじゃないかと思うくらい、自分の中で大きく音を鳴らしていた。
彼は不思議そうな顔で私を見ている。さぁ、勇気を振り絞って言うしかない!!!!!!
「あの、まぁ私の事知らないと思うんですけど・・・・。」
「好きです。よかったら付き合ってください」
私は顔が赤くなっているのが自分でも分かった。恥ずかしいほど熱く、噴火寸前の火山のようだった。
「んーいきなりやな(笑)」
と苦笑いで言った。
沈黙が続く・・・・・。私はこの時間ほど長く感じたのは初めてだった。
「ちょっと考えさしてくれへん?」
と彼は私を見つめてそう言った。その問いに私は首を上下に振った。
振られる覚悟で言ったので、正直この答えは考えていなかった。
~ピンポーンパンポーン、一年四組安井雄太君職員室に来なさい~
彼を呼び出すアナウンスが流れた。彼は((どうしよう))というような顔をした。
「じゃー呼ばれてるから行くね」
そう優しく笑いながら言った。かっこいいな~と思いながら私は笑顔でありがとうと伝えお互いその場を去った。
そして、亜紀と勇人が待っているところに戻った。
「どうやった???」勇人が言う。
「んーちょっと考えさしてってさ」
「まじかー、でもよーがんばったな」
亜紀がそう、私に軽くハグをしながら言った。
もう、ほっとして崩れ落ちそうだった。
その日の帰り道はやり切った気持ちでいっぱいで、自分を誇りに思った。
初めての告白・・・・。しかも、直接本人を目の前にしていった。
私はこの数週間の出来事が夢のような、他人の事のような気持ちだった。今の状況が私には自分の事のように感じれず、本当に言ったんだと家に帰って何回も自問自答をしていた。

