「なんだ、芽衣まだ起きてたの?」
家事を終えた真衣が来る。私と真衣は同じ部屋だ。良くも悪くもないが、都合の悪い時は本当に嫌だ。
「うん」
真衣は私の顔をのぞき込んだ。
「何さ?」
「あんた、恋した?」
「はあ?」
私は後ろを向く。
「や、お母さんには言わんからさ、教えてよ。真衣ならいいでしょ」
「ま、そうだけどさ」
私は苦笑いする。
「え、何よ?」
「私ね、実は今日からバスケ部のマネ始めてさ~~~」
「えええ!?この芽衣が??」
我が姉は隣近所が迷惑するくらいの声で叫んだ。
「このってなによ笑笑」
「へえー、芽衣がマネージャー!」
「私がやろうとしたわけじゃないよ?」
「ま、そうだろうね」
「あんね、実依沙っていう子がさ、自分こくるから芽衣もこくってって言ってきて...」
「は?だからあんた、マネになったの?」
「玲夏の提案だけどね」
「玲夏か~~~。よくよくかんがえたら、陽菜もそういう極端な考えもってるわ~~~」
陽菜、とは真衣と同い年の、玲夏の姉だ。
「そしたらさ、そのバスケ部の男子の、ちょいモテイケメンがLINEの友達追加してもいい?って!!」
「ええー!まじで!!」
「まじだよ!それで、いいよって言ってねー!」
「芽衣のこと可愛いなんて思う人いるんだ~~~」
真衣が笑った。
「は?なにそれ?意味わかんね」
私がキレてやると、
「うわー、やばやば!芽衣のこと怒らすと怖いんだよ」
「その通り」
真衣はニヤけた。
「あとさ、私が真衣にタダで教えるわけないよ?」
「は?芽衣金取ろうとしてんの?だめだよ?」
「別に金目当てじゃない。、、、真衣さ、一応彼氏居るじゃん?だから、、、女子力上げる方法教えて欲しいんだけど…」
真衣はまたご迷惑をおかけする声で笑った。
「あんたらしくもない!まあいいよ、やってあげる」
「じゃ、おねがいー!」
取引成立。玲夏のスパルタ指導はやって行けない。ここは何とか我が愛するお姉さまにやってもらおうっと。

「あ、真衣ちょっとやり残したことあったんだ!芽衣は先寝てな?」
「うん」
真衣は慌ただしく部屋を出ていった。

嘘つき。芽衣の嘘つき。
本当に相談したかったのはそれじゃないんだよ。これは、これは、、、、

嘘の恋なんだよ。