「俺は……夢はみなくていいです」

「ほう、何故だい?」
フランツさんはとても意外そうな顔つきで、俺に問う

「確かに、心は夢に行きたくなっていました
夢なら、愛依にも会えますし
けれど、それは結局逃げなんです
どうしようもない現実からのね
だから、』現実に希望を持ちたい』そんな気持ちなので夢は見なくていいです」
そうハッキリと言うと…

パチパチパチ
「ハッハッハ
面白い、面白いよ君は
なぜかって?
それはな、今まで何万もの人の夢を管理してきたが、君と同じような状況で夢を見ない選択をしたのは君が初めてだからさ」

「ええ!?そうなんですか??」
事実に驚き、聞き返してしまう俺

「そうなのだよ
だから、私は君のことが気に入ったぞ
そうだ、そんな君にはひとつご褒美をあげよう
君の病室にあるぬいぐるみに仕掛けをしておこくことにする

もし、夢が見たくなったらそのぬいぐるみを枕元に置いて寝るといい
また、この館に来ることが出来る筈だ」

「は、はい」

「よし、そろそろ夜も明ける
あちらの扉が現実への扉だ
現実世界へと、戻るがよい」