「先生って色んなところを知っているんですねぇ~
もしかして、前の彼女さんと…?」

唯の問に、先生の眉間のシワが寄ってきた。

「あのね、唯ちゃん。
何処の世界に初デートで、昔の彼女と行った所に連れて行く彼氏がいる?
楽しませる為に来てるのに、そんな所を俺が選ぶと思う?
唯ちゃんはそうされて、嬉しい?」

あっ…怒らせたちゃった………。

「………ごめんなさい。」

…そうだよね……。

先生がそんなことするわけないのに……。

何言ってんだろう。



落ち込む唯に

「分かってくれた?」って少し屈んでのぞきこまれた。

「はい。……ごめんなさい。」

「うん。分かってくれたら、それで良いよ。
せっかくのデートなんだから、楽しもう!」

そう言うと、直ぐに水に流してくれて…いつもの笑顔を見せてくれた。

「はい。…あの…あのね…あの…」

「うん?」

「あのね…。
ここは…唯との思い出の場所??」

「もちろん!
唯ちゃんと初デートの思い出の場所だよ。
だから、写真撮ろうねっ。大切な思い出を残そう。」

「あっ…あの…だったら…ちょっと待って。
話したいことが…」

「な~に?」

「あのね…。
ホワイトデーに、先生に"付き合おう"って言われて…彼女になったでしょ?
でも…あの時は…よく分からなくて。
流されて彼女になってない?って…不安もあったの。
先生のことは好きだと思うし…電話やメールだって嬉しい。
けど…彼女っていうと…自信がなくって。
会話も…恋人っぽく話せないし…先生にも釣り合ってないかな?って…
えっと…それで……」

「あれっ⁉
もしかして…付き合うの嫌になった?」

「えっ⁉
あっ⁉いえ、違います!!誤解です!
そうではなくて…。
あの…昨日から…ずっと先生と…一緒にいたでしょ?
家族以外の人と…こんなに長く一緒にいたことがないのに…
嫌だなんて、全然思わなくて。
むしろ…今朝先生が「帰る」って言われて…すごく淋しくて…。
こうやって、またデートが出来て…ホントに嬉しいんです。」

「………あの…だから。
あのね…唯からのお願いなんですが…。
あのっ!
改めて…唯とお付き合いして下さい。」

「えっ⁉唯ちゃん!!」

びっくりお顔の後…

ギュッって…………………

うわぁ!!

びっくりして離れようとしたけど…先生の力は強かった。