幕末を駆けた桜




それを肌で感じ取っているのは、この国に僕を抜かしてただ1人。

坂本龍馬…あいつだけだ。



『百姓から登ってきたのなら、貴方には分かるはず。


この国の民の不満や…強さを』


言いたいことはこれだけだ。
後は…近藤さんがどう思うかによるが…肝心の近藤さんは、考え込んでいて動きを見せようとしない。


もしここで幕府を守ると言う選択肢を取ったとしても、戦争が始まるその時まで。

僕は、近藤さんの意見を変えるべく何度でも説得する。


もしも納得してくれぬのなら、そのまま彼らと戦死する覚悟だってある。



歴史を知っていても、それを手助けすることしかできない。


決めるのは、僕じゃない。



『……近藤さん』


土方が、近藤さんの名を呼んだ。

それは、あまりに静かなこの空間には大きすぎる声で。


今、この場にいる人間は僕のことをどう思っているのだろうか。


土方や沖田は、この前僕の思考を話した。
理解してもらったとは思えないが、驚くことはないと思う。


が、他の組長方には初めて言ったからな。

皆動かず、近藤さんだけを見つめていた。




『……分かった』