幕末を駆けた桜





『敵とみなしている事の方が、僕はおかしいと思うがな』



『また、てめぇは!』



沖田にそう言った僕を怒鳴り付けようとした土方を、近藤さんが手で制した。



『それは……坂本龍馬は敵ではないと言うことかい?』


敵ではない…訳ではない。

だが。



『味方ではありませんが…同時に、敵でもありません。


坂本は…否、僕とあいつは、言うならば第3の選択者』



『第3の…選択者?』



『はい。

近藤さんのように、幕府を守るつもりはありません。
ですが、長州のように攘夷をするつもりもない』



対等に、力を伸ばすべき時期なんだ。今は。
内乱をしている場合ではない。

幕府が政治をすることができないのならば…そのまま鎖国を続けるつもりなのならば、即刻潰すべきだ。



『今や、日本と外国との力の差は歴然。

我々がこうやって国内で、鎖国を行なったままいつまでも内戦を続けている間に…外国では貿易を開始し、着々と軍事力や経済力を伸ばしてきている』



そこで区切りをつけ、近藤さんを見る。


『ならば…幕府を落とし。
即刻開国を行ない、外国と対等に貿易を行い、国内の力を伸ばしていくべきだと思っています』



『今や、1つの権力で政治を行う独裁政治ではやっていけぬ世の中なのです。

国の力は民。

それ故、今の様に所々不満のある国では、いつか必ず滅びてしまう』