幕末を駆けた桜




『ほう……己の誠とは…主の誠とは?』



面白そうに目を細めながら僕を見つめた芹沢鴨と視線を交え、口角を上げる。

威圧感など、もう微塵も感じない。
この人は…敵じゃない。



『仲間を守る事』

『それが主の誠か?

例えばそれが…上から我らが狙われた場合でもか?』



上…とは幕府の事か。
それ以外に思い浮かばないからそうだろう。



『はい。

あくまで僕が忠誠を誓い付いて行くと言ったのは近藤勇殿だけであり、幕府についているわけではありませんので』


なおも視線を外さない僕に、何を感じたのか数回頷いた芹沢鴨が立ち上がり、上から僕を見下ろした。


『それは…幕府には従わぬと取っても良いのか?』


そう言ってニヤリと口角を上げた芹沢鴨を見上げ、返すように口角を上げる。


『どう捉えようが貴方の自由です』



一歩も引かない僕の態度をどう思ったのかは知らないが、取り敢えず第一印象は大丈夫なようだ。



『そうか、そうか…!

未だそっちに主のような者が居たとはな。
やはり、取りやめはなくしてやろう』




その証拠に…芹沢鴨は、驚いたように目を見開いた土方と沖田に向かって笑いかけ。



『明日、島原で宴を開こうぞ!』


そう高らかに宣言した。

……何故か、僕の肩に手を回しながら。